1993年4月14日水曜日

<1993/4/14>


伊丹空港:いきなりのトラブル。 全日空のカウンターに行く。チケットを出すと、
「これはローマまでのチケットはどうなさいました?」
「このチケットは全部そろっていないと使えませんよぉ」
とは、カウンターのねえちゃんの言葉。旅行会社からもらったのは何枚か綴りになったチケットの一番上。大阪~成田だけだったのだ。
「え゛~っ、でも残りのは成田で受け取ることになってるんですよぉ」と、
HIROKO がすかさず切り返して、無理やりスーツケースをローマまで届けさせる。持つべきものは旅慣れた妻である。
定刻の午前7:40、伊丹空港テイクオフ。座席は41のAとB、翼のすぐ後ろである。離陸時には、プロジェクターとTV画面に滑走路の様子が映し出 され、自分がパイロットになったような気分。フラップの動きが近くで見えてなかなか面白い。向きを替えるところなんかでは、小さなフラップが上下して 「なぁるほど、こんな仕掛けなんやなあ」と感心する。男の子は誰も、小さいころには運転手になりたかったものなのだ。
  • 成田着。
第二ターミナルである。最近出来ただけあって、なかなか綺麗な空港だ。われわれの乗るアリタリア航空機は、第一ターミナルから出発。バスで第一ター ミナルに移動する前に、お上りさんして第二ターミナルを見物して歩く。
ターミナル間をむすぶエアポートバスは、黄色地に緑のライン。どうにもイエローキャブみたいで、趣味が悪いよなぁなどといちゃもんをつけつつ、たっ たいま出ていったばかりのバスを見送った。次のバスは10分後である。バスの座席は先頭、運転手の後ろである。たまたま我々の後ろに座った初老のカップ ル。旦那のほうが行き先を間違ってしまって、第二ターミナルの方に来てしまったらしい。彼らの目的地は、われわれと同じ第一ターミナルの四階、Hカウン ターであるらしいことが二人の会話から察せられる。
「おまんが、先行くから、いかんのやぁ」
と、ばあさんの方が旦那を責めること、責めること・・・・・
「ほんなこつ、ゆうたかて」
と反論仕掛けるのだが、どうにも旦那の方が旗色が悪い。結局彼らは、バスが第二ターミナルから、第一ターミナルに到着するまでのあいだ、ずうっと責め合っ ていたのだった。
成田では今回のツアーのチケットとバウチャーを受け取る。旅行中はこれらとパスポートが大事としまいこむ。
アリタリア航空は、36番ゲート発。座席は43のAとB。三列席の窓際二席である。エコノミークラス席の最後尾で、後ろにはスチュワーデスの座る シートがある。三列のうち二列には二人連れで申し込んだ客を乗せ、一人の客を通路側に乗せる。このへんのルールは新幹線でも何でもおんなじなのだが、おか けで最後尾のわれわれの席の隣は空いたまま、すっかりとゆったり座らせてもらった。機内用に買ったスリッパに早々に履きかえて、リラックス。
あとは、経由地のモスクワで熊でも乗ってこないことを祈るばかりである。
イタリアの航空会社なので、機内では最初がイタリア語、次いで英語、フランス語、最後に日本語でアナウンスが告げられる。機長からのメッセージが、 すべて日本語訳されるわけではないので、イタリア語と英語だけの時もけっこうあって、そんな時には英語のアナウンスを聞くとホッっとしてしまう。
定刻にテイクオフ。まずは出てくるドリンクサービス
「ワイン、ビア?」
「ワイン」
機内誌の最終ページに、機内サービスの価格が書いてある。ビールとワインはFREE OF CHARGEとのこと。バーボンはフォアローゼズしかな いし、後はスコッチだけなのでちと残念。機内販売するブランド物の価格表もついている。飲みおえたころに、そろそろ後ろのほうからいい香りがしてくる。飲 み物・食べ物のサービスは後部座席からの順のようだ。ただ、においはすれども、食べ物自体はなかなかこない。蛇の生殺し状態で昼食の来るのを待つ。
  • お食事(日本時間13:00)
  • チキンステーキ(人参のソテー添え)
  • ラザニア
  • フランスパン
  • 寿司(いくら軍艦巻き、カッパ巻き)
  • ワイン(180ml入り)は一本空にしているのを見てもう一本持ってきてくれた
  • デザートのチョコレートのムース(洋梨入り)
ムースは量もたっぷりで、ワインもとりあえず二人で三本飲んで、心地よい気持ちになる。
食後に飲み物を持ってきてくれる。最初は「コフィー、コフィー」、次に「イングリッシュ・ティー、イングリッシュ・ティー」と言いながらスチュワー デスのおね~さんが来るもので、なんでわざわざ「イングリッシュ」なんだろ~と思ってたら、最後に「ジャパニーズ・ティー、ジャパニーズ・ティー」という のがやって来た。安易に最初に来たコーヒーを頼んでしまった身の不運を嘆く。食後は映画「リーサルウェポン」。
  • 22:10(イタリア時刻15:10)モスクワ着
少々遅れて到着、出発までは約50分の待ち合わせということだ。翼には霜か氷がこびりついていて、いかにも寒そうなモスクワの気候を思わせる。みん な外の 様子が気になるのか、非常口の窓を覗きにきてはスチュワーデスに「プリーズ・シッダウン」とたしなめられている。
当初のアナウンスでは、空港ロビーに降りられるかもしれないということだったのだが、出発までの時間があまりないということで、機内待機ということ になる。せっかくのロシアなのだから、せめて空港くらいは見てみたかったものだ。
モスクワからローマまでは、あと4時間というところ。あと一息のところまで来ているのだから、一気に飛んでしまえばいいのに、というのはシロウト考 えなんだろ~が、かれこれ10時間以上も機内暮らしを強いられていると、お尻は痛いし、足はむくんでくるし、そろそろ地面の上が恋しくなってくる。これで スリッパじゃなくって靴のままだったら、疲れも倍増だったかもしれない。ほぼ予定通りローマ到着。
さて、ここローマは、レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港。日本と違うことで、最も驚くのは空港警備の警官がサブマシンガンをぶらさげていること。安全と水はタダという国から来た人間には、なかなかショッキングな光景である。
空港の税関を出たところには、今回のツアー会社「イタリア・ツアー」社のデスクがある。スーツケースが中々出てこなかったため、デスクに着いたのは 我々が最後。周りにはフランス語、英語がとびかって、すっかり国際観光都市の気分である。ここからはバスでローマ市内の各ホテルまでお送りします、という 段取りだ。
ローマ市内まではけっこう距離があり、我々一行を乗せたマイクロバスは高速道路を快調に飛ばしていく。でも、その横をビュンビュン追抜いていく車も あったりして・・・・・・・・いったい何キロで走っているのだろう。昼間だったらまわりは緑の中なのだろうが、夜の九時とあっては景色も見えず、ひたすら ホテルをめざすだけである。気分はすっかりベッドの中、といったとこ。市内に近づくにつれ、しだいに遺跡とおぼしき建物が目につきだしてくる。街路樹の背 がやたら高く三階の屋根くらいまである。右を見ても左を見ても遺跡だらけの景色が特徴的。遺跡の中に町がうずもれている、といってもいいくらいだ。町のあ ちこちに貼ってある「Si」と「Non」とのポスターは、EC統合に対するものなのだろう。
バスがクイリナーレ・ホテルに着く。このバスに乗っている客はみんな私達と同じホテルかと思っていたら、ここで降りるのは我々だけ。あとはそれぞれ のホテルに客をおくりとどけるらしい。ここクイリナーレ・ホテルは、共和国広場(ピッツァ・デラ・レピュブリカ)の近く。ローマ三越の近所、という言い方 もあったりする(^^;。市内の中心地に位置するので、交通の便はなかなか良い。レセプションでバウチャーを提示して、チェックイン。古いホテルらしい が、ベッドメイクはキチンとできているし、バス・トイレの設備は立派である。テレビは回転チャンネル式で、日本国内からすると旧式の感をまぬがれないが、 ふたつ並べたベッドはゆったりと広い。あとは、ギリシァのホテルでも同じだったが、バスタオルが大きくて気分の良いのが嬉しい。バスを使った後に、ほとん ど一畳くらいあるバスタオルにくるまるのは、中々気分のよいものだ。
新婚旅行初日、ローマ到着は夜。移動に疲れた身体には、夜の到着でそのままおやすみという日程がありがたい。明日はローマ市内観光である。

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