1993年4月15日木曜日

<1993/4/15>



  • ローマ観光の一日目
10:00に指定のバスツアーの出発場所に集合。APPIANE LINE(アピアンライン)社のパノラマツアーにてローマ見物。ローマ市内の名所をバスから見学するツアーだ。日本からのツアー専用のバスというわけでは なく、ローマ現地の観光バスに乗るので、渡された地図を頼りに集合場所を探すことになる。
バスから降りて見るのは、ジャニコロの丘とサンピエトロ寺院。前者はローマ市内を一望に見下ろすパノラマが楽しめるところ。サンピエトロは、世界最 小の国バチカン市国の象徴である。そのほかにもローマ観光の下見にはもってこいのツアーで、市内の名所を一回りしてくれる。これで目星を付けておいて、後 で自分の見たいところをゆっくりと回るのが良いのだろう。
ツアーバスはアピアンライン社のオフィスから出発する。ホテルからは歩いて5分かそこらということなのだが、なにせ道のいりくんだ街なのでオフィス を見つけるのが一苦労。オフィスより先にアピアンラインとボディー書いたバスをみつけたのだが、そこからオフィスをみつけるまでに手間取った。通りの名前 と番地は分かっているのだが、建物にふってある番地がひとつおきなのである。
どうやら道の右側は偶数番地、反対側が奇数番地になっているらしいことに気づき、オフィスにたどり着いたのは発車時刻ギリギリ。バウチャーを出す と、さっき見かけたバスを指さして「あれに乗れ」と一言いうばかり。こんなことなら、とっとと乗っときゃよかったとブツブツ言いつつバスに乗車する。
バスの中には地元イタリア人を始め、アメリカ、フランス、ドイツなどなどの各国の観光客が乗っている。ツアーの間、名所旧跡の説明は小型のFM受信 機を使ってイアホンで聞く。六か国語が準備されていて、当然のように日本語ガイドもある。この多国語メニューというのはレストランに行っても同じで、イタ リア語、英語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、そして日本語と、多種多様な言葉でメニューが記されている。ガイドもイタリア語だけでなく複数の言葉 をしゃべるのが当然のようで、地つづきで様々な国がつながっているヨーロッパならではというか、観光都市ローマならではというのか、これには感心しきり だった。
このバスにも日本人のツアー観光客は多く、それを案内する現地の日本人添乗員らしきおっちゃんまで乗っている。観光ポイントに来るたびに、このおっ ちゃんが団体さんに色々と説明してくれるので、イアホンから聞こえる解説とおっちゃんの解説とで、なかなか詳しい観光案内をきかせてもらった。
さて、最初の(といっても二ヵ所しかないのだが)の観光ポイント・ジャニコロの丘は、ローマ市内を見渡せる所。
六甲山から神戸を見下ろすがごとく、市内の遺跡がひとめでわかる。ローマをバックに写真を撮るにはもってこいで、記念写真を売りつけるおっちゃんこ そいないものの、観光バスの乗客全員が撮影ポイントを争う。「We have 10 minutes」というガイドのおね~さんの言葉など、誰も守ろうとはしない。私も慣れない手付きでビデオカメラをまわしだした。
しかし、まあこのビデオカメラというヤツ、慣れるまではなかなか面倒なもの。ここに来るまでは、ホテルの室内をグルリと撮ってみただけ、それにカメ ラをかかえて対象物に迫っていくというのは、自分のデリカシーが許さないものがあって、ついついちょっと撮ってはやめてしまう。カメラマンという人種はな んとも、ずうずうしい商売なのだなと思ったシャイな新郎であった。
ジャニコロの丘を下ると次のポイントは、バチカン市国のシンボル「サンピエトロ寺院」である。
ジャニコロの丘のあたりは、ちょっとした高級住宅街である。まがりくねった道の両側にはアパートがたち並ぶ。どの建物の窓にも花や緑がいっぱいであ る。遺跡に埋もれたローマ市内とはちょっと違ってモダンなたたずまい、「山手」といった感じである。
ジャニコロの丘を下って、再びローマ市内に入る。目指すはサンピエトロ寺院、バチカン市国の象徴だ。
ガイドのおね~さん曰く
「サンピエトロでは、見学の前にみやげ物がもらえます」
なんだそ~だ。
そう言ったガイドのおね~さんはバスを降るなり、サンピエトロ寺院の前の広場をスタスタと横切っていった。残された我々お上りさんの団体は、唖然と しているばかり、誰もかれもが「ホワッツ ハップン?」状態である。きっと先に行ってお店となにやら交渉をしているんだろう。
寺院の前はロータリーになっていて、その真ん中は車が通らない。皆なんとなく固まって、そこで待つこと15分から20分。ガイドのおね~さんはいっ こうに帰ってこない。さすがに皆がザワザワし始める。現地添乗員のおぢさんに率いられた日本人の団体は、はやばやと見切りをつけてサンピエトロの見物に 行ってしまった。
30分経過。
素直に待ってる方も待ってるほうだが、なんといっても勝手のわからない初めての街、ひたすら待つ。ピッツアのトラック屋台を見物したり、モザイク アートのみやげ物屋を覗いたりして、そこそこ時間つぶしにはなるのだが、ここに来たのはサンピエトロの大聖堂を見るためである。ロータリーを歩みさる騎馬 警官を見るためではない(^^;。
45分経過。
結局、みんなあきらめてバスにもどる。「many Japanese were lost・・・・・」などと言ってるおっちゃんもいる。そりゃそうだ、10人近くいた日本人の団体はとっくにサンピエトロのの見物を終えたところだろう。 バスの運転手はなにやら事務所と無線でオハナシ中であるが、我々お客さんにはなんの説明もない。
結局、何もなかったようにバスはツアーを続ける。メイン(になるハズだった)のサンピエトロ寺院を過ぎると、後は出発点に向かって戻るだけである。 カテドラルを見られなかったのは残念だったけど、ローマ市内の観光ポイントはつかめた。狭い街なので、あとは地図を片手にぶらぶらと歩いて見てまわれるだろう。市内観光の下見と思って納得することにしよう。
しかし、事務所に戻ったらガイドのおね~ちゃんが素知らぬ顔して次のツアーの準備をしていたのにはびっくりである。
パノラマツアーで主要な観光地にあたりをつけたところで、地図を片手にローマ市内の見物に出発することにする。目指すはローマ観光の定番、トレビの 泉とスペイン広場である。まず目指すのは「スペイン広場」、オードリーヘップバーンの映画「ローマの休日」でお馴染みの場所である。アイスクリームを食べながら階段をかけお りるシーンは、有名なショットである。
バスを降りた所からスペイン広場までは1km弱、観光案内図を手に歩く。バルベリーニ通りからシスティーナ通りを抜けると、サンティ・トリニタ・ ディ・モンティ教会の裏に出る。下を見下ろすとそこがスペイン広場だ。似顔絵書きが何人かカンバスを広げて、観光客に呼び掛けている。カメラの望遠をつ かって覗きこむと、なかなかの出来ではある。一枚1,000円見当といったとこ。
さて、スペイン広場の件の階段は観光客でごったがえしてして、とうてい映画の様に走り降りられる状況ではない。空いていればアイスクリーム片手にう ろつくところであるが、なかなか観光地というものはイメージ通りにはいかない物である。
スペイン広場の前には幾つかの通りがあって、有名ブランドのお店や飲食店が立ち並ぶ。日本人観光客はここでもカモなのか、革製品の店の前を通ると日 本語の看板とともに「やすいですよ」「いかがですか」の声が掛かる。革製品の購入はギリシャで予定しているので、早々に通り過ぎた。
通りを行ったり来たり、また横道もいろいろ覗いて見たりしたところでそろそろ1時。昼ご飯時である。ローマのお食事らしく、パスタ料理店を探して 入った。店の名は「OTELLO alla CONDORIA」。裏通りの脇道を入ったような所にあった店である。路地のようなエントランスをはいると、今日のお薦め料理がイタリア語と英語で書いて ある。
入ってテーブルに付くと、「ジャパニーズ・メニュー?、イングリッシュ・メニュー?」と聞いてくれる。なるほど世界に冠たる観光都市、こと観光客へ のサービスは徹底していると HIROKOと二人で感心する。さっそく日本語で書かれたメニューでオーダーを出したのだが、パスタの注文をした途端に「Non」の返事。思わず「ヘッ?!」と思って聞き直すと、そのメニューは今日はやっていないとのこと。要するに日替わりメニューであって、全部をやっているわけでは ないのだった。
ともあれ、この日の食事はイタリアに来て最初のイタリア料理、
  • 前菜盛りあわせ
  • チョウセンアザミのパスタ
  • カネロニ
  • シタビラメのムニエル
  • 白のハウスワイン
  • エスプレッソのコーヒー
昼間っからワインを飲んだくれていられるのも、旅行中ならではである。
  • 昼食の後は「トレビの泉」へ
スペイン広場からはほんの4~500mしか離れていない。ほんとに街の中が名所だらけといった印象だ。トレビの泉は道路から一段低くなった所にあっ て、泉の後ろ部分は数々の彫刻で飾られている。泉の縁の所に座ってコインを投げ入れるのだが、なかなか座るだけの場所が空かず、ちょっと空いたと思ったら すかさず座り込む人がいたりして、さながらラッシュ時の座席の奪いあいのようである。
コインの投げかたにはルールがあって、
その1    左手で右の肩越しに投げる
その2    一個で、トレビの泉に再び来ることが出来る
            二個で、二人は結ばれる
            三個では、、、、、二人は目出度く離婚出来るというご利益があるそうである。
まあ、本当にご利益があるのかどうかは定かでないが、新婚旅行のカップルとしては、冗談交じりで三個のコインをなげたりしないように注意すべきとこ ろ。
ローマ観光の最後は、忘れちゃいけないコロッセオである。スペイン広場やトレビの泉からすると、ホテルを挟んでちょうど反対側になり、コルソ、 フォーリ・インペリアリの二つの大通りを通って行く。午後からはあちこちと歩きづめだったので、途中の喫茶店で一休み。店内は「喫茶」というより「スタン ドバー」といったイメージである。私はコーク、HIROKOはフレッシュオレンジジュースをオーダー。コークの方は、レモンスライスをコップの縁に引っ掛 けたのに、缶コーラを注ぐだけだったのだが、ジュースの方はなかなか手間取っている。
されど、かくして出て来たジュースはなかなかの満足物だった。グラスに並々と注がれたジュースは、いかにもオレンジをギュウギュウと絞りましたとい う感じの飲み物。ちょっと繊維質が浮いて入るものの(^^;、天然果汁100%のおいしさ。
ただ残念だったのは、グラスの底に砂糖がドドッと沈んでいたこと。なにやら「甘い物=おいしいもの」という図式があるようで、私達の感覚からする と、せっかくのオレンジ100%ジュースなんだから、何も入れずに飲めればよかったのになぁ、というところである。さあ、一休みしたところで、コロッセオ は目の前である。
コロッセオは闘技場。すっかり観光地になっているが、この場所で戦った戦士と、戦わされた獣の檻が残っている。いまだに人骨や獣の骨がころがってい るというのがちょっと 無気味である。コロッセオに着いたのはかれこれ夕刻、かくべつ入場料をとられるわけでもなく、勝手に見てまわるだけなのに、見学時刻には18:00までと いう制限がある。
コロッセオに入る前にふと横を見て、凱旋門のミニチュアがあるなと思っていたら、これを見本にしてパリの凱旋門が作られたのだそ~な。まあ、年代か らしたらローマの方が古いのは一目瞭然だが、すっかりパリの方が有名になっているので、こっちがパリのミニチュアのような印象をもってしまう。
その凱旋門の近くで HIROKO と二人、それぞれにTシャツを購入。私は太陽の顔がデカデカとプリントされた柄にローマの文字の入ったのにしたのだが、日本に帰ってから大阪は難波の地下 鉄の駅で、これと同じ柄で「オーストラリア」の文字の入ったTシャツを見た時はちょっとショックだった・・・・・・(^^;。ともあれ、コロッセオ入場。
長年の風雨にさらされてかなり傷んではいるものの、規模の大きさには改めて驚かされる。これが寺院かなんかだったら信仰心の表われというところだ が、皇帝の権威を示さんがため、戦いを見物せんがための建築物だというところは、どう考えても悪趣味としか感じられない。ま、そうはいってもローマ観光の 要所。ここを見ておかないとローマに来た気がしないので、ビデオを構えつつ HIROKO の姿を追っかけて歩く。入場口から階段をあがって二階席だか三階席だかにあたるフロアに出る。
意外だったのは見通しがあまりよくなかったのと、闘技場の広さがそんなになかったこと。サッカーグラウンドくらいの広場を見下ろすのかと思っていた ら、いいとこテニスコートくらいの広場。あれじゃあ、上の方の見物客にはなにがなんやらわからなかったんだろうなぁ。
一番上まで上がって見たかった所だが、最上階の席に上がる階段もみつけられなかったので、そろそろホテルに帰還。帰り道に「サン・ピエトロ・イン・ ヴィンコリ教会」に立ち寄る。ガイドブックによると、ミケランジェロの三大彫刻のひとつ「モーゼ像」がある。聖ペテロが布教中に迫害され、鎖につながれて いた牢獄とあわせ、いわゆる穴場の観光ポイントらしい。
広い教会内部の右奥のモーゼ像は、ライトアップもされていて立派な姿。ギリシャ神話をもとにした天井画も、天井全面に描かれている。ミケランジェロ の三大彫刻というほどなので神々しいお姿といいたいところだが、 HIROKO にもわたしにも、よくあるギリシャ彫刻の一つくらいにしか感じられない。信仰心の問題なのか、審美眼に欠けるのか、はたしてどっちなんだろう。
ホテル近くのレストランで夕食。グラタン、スパゲティ、子牛のカツレツ、リゾットを注文したのだが、どれもこれもがチーズがたっぷりかかったシロモ ノで、いささか胃にこたえる。なにせどれもこれもチーズの味だけしかしないんだものなぁ(^^;。
胃薬を飲んでおとなしく眠ったローマの第二夜であった。

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