1993年4月19日月曜日

<1993/4/19>



  • ミコノス島散策
ミコノス島のホテル、イリオ・マリスでの朝は、今までのこの旅の中でいちばんゆったり。いままで、やれ6:30だとか、5:40だとかに、起きてい たことを考えると、本当にリゾート地の朝らしくゆっくり眠れた。今日は終日フリーデイ、明日もアテネにもどる飛行機が22:00発なので終日フリーのよう なもの。リゾートの旅はかくあるべしである。
地中海の島がいくつかあるなかで、今回の旅行にミコノス島を選んだのは、青い海に白い壁の家々を持つ島を見たいことがひとつ。もうひとつは、私の 持っているマックナイトのシルクスクリーンの中の一枚に「ミコノスハーバー」という作品があって、それの描かれた現場をこの目で見てみたかったからだ。ミ コノスの湾をみおろす構図で、青い地中海の海と四つのウインドミル、画面左から真ん中にカーブを描いてのびるミコノス港の突堤。これと同じ景色をミコノス の島にみつけよう、というわけである。
船が到着するのは、ちょうど絵の題材になっているミコノスの港だし、ホテルも港からほど近い。歩いて近くの丘に登ってみれば、マックナイトが見たミ コノスハーバーの景色を目にすることが出来るだろう。
朝食は8:00~10:30の間。9:00過ぎまで部屋でごろごろしてから、10:00頃にようやく食堂に降りていって食事にかかるが、まだまだ ゆっくり食べている客も多い。トースターでパンを焼いて持ってきてくれるサービス。ホテルというより民宿かペンションといったノリである。夏はビーチがに ぎわう土地柄だから、海水浴客相手の海辺の民宿といったほうがぴったりくる。イースターの時期にあたるからだろう、表面をどぎついピンクに塗ったゆで卵が 置いてある。縁起物かなぁと思い、とりあえずひとつ取ってみる。あとは、コーヒー、フレッシュオレンジジュース、チーズ、クッキー、ハム。かごに盛った林 檎が置いてある。
マックナイトの絵の風景を探す前に銀行と郵便局へ行く。観光地の銀行だけあって、持って来た自国通貨をドラクマに替える人が列をなしている。郵便局 では日本の友達宛に葉書投函。せっかく出すのだから、やっぱり地中海の島の消印付きの方がご利益があるような気がするが、きっと自分達のほうが葉書より先 に帰国するのだろうな。
さて、ミコノスハーバーの写真を持って出発。ホテルの裏から小高い丘に続く道を登って行く。狭い島なので道は坂ばかり、しかもアスファルトで舗装な どという無粋なことはしていないから、砂ぼこりだらけだ。バイクがいかにも重たそうな音を立てて登って行き、荷物を運ぶのもリヤカーにバイクを付けたも の。そういえば田舎でこんなのが走っているのを見たな、と思い出す。その横でロバに野菜をつんで港の方に売りにいく人とすれ違う。
風は今日も強い。高台で港の写真を撮ろうとすると風で身体がふらつくくらいだ。撮ったビデオの映像は、さぞや風音でゴオゴオいってることだろう。
港を見下ろす風景は、ほぼマックナイトの絵に似ているのだが、そっくりというわけにはいかないようだ。まったく見たままを版画にしたのではなく、ミ コノスの島の雰囲気を伝えられるようにアレンジしているのだろうと納得。それでも、白い家々、ゆるく湾曲して伸びる突堤、港のそばに並ぶウインドミル。こ れを見るために新婚旅行先にギリシャを選んだのだから、感慨もひとしおである。しばしぼ~~っと眺めに見入る。港からは我々の乗って来たNAIAS-2が ピアレスへと出て行く。汽笛がなって、船がゆっくり滑っていくのをずぅっと見守る。
ミコノスハーバーを見える丘で二、三時間すごして港へ。今日も遅めの昼食だ。
ロブスターサラダ、ムサカ、スブラギ、パンにレツィーナというワインを飲む。ムサカはジャガイモとひき肉をナスでサンドイッチにした焼き物、スブラ ギは羊肉のシシカバブといったところだ。いずれもギリシャのガイドブックには必ず乗っている定番料理である。レツィーナワインは出原さんのお薦めのワイン で、マツヤニで香りをつけた、ちょっとキツい味の白ワインだ。フェタというヤギのチーズはくさみが強く、 HIROKO の口には合わなかったようだが、私はけっこう気にいった。デザートはバクラバ、蜜がたっぷりかかった焼き菓子。とにかく甘い。
目と舌を満足させて、今日の予定は完了。途中でパンとミネラルウォーターを買って帰って、夕食は軽くすませる。途中で帽子を買ってかぶったが、陽射 しが強く、耳、鼻のあたま、腕などがすっかり日焼けしている。よく歩いたので、風呂に入って10時には就寝。健全である。
  • ミコノス島は教会が多い
ガイドブックにもよるが、200~400もの教会がある。東西10キロ、南北5キロ程度の小さな島だが、ものの50メートルも歩かないうちに次々と 教会にでくわす。一家にひとつとまでは言わないが、町内に二つ、三つは教会がある。これだけの数があるのだから、そんなに大きな建物ではなく、中は20畳 かそこらの広さしかないものが殆どで、造りもいたって簡素だが、さぞや信仰心の篤い島なのだろうなと思わせる。
そんな中でも名高いのが「パラポルティアニ教会」というミコノスの港にほど近い教会。四つの部屋はそれぞれが正確に東西南北をむいており、教会の外 観も美しい。教会をあしらったミコノスの絵葉書には、必ず登場する定番である。
島自体には格別の観光名所があるわけではないが、いわゆるエーゲ海にたいして抱くイメージそのままの島である。青い海、白い壁の家、さんさんと明る い太陽、これらのものが丸ごとワンセットになってこの島にはある。ちょうど花の咲き始める頃で、特に植えているというのではないのに、野生の小さな花が赤 や黄色に咲きほこっている。
教会と並ぶ島のもうひとつのシンボルが、ウインド・ミル。
マックナイトの絵にも、四基のウインドミルが描かれている。実際の粉引きには使われておらず、もっぱら観光用らしい。カト・ミリの丘というところに 並んで立っている風車の姿は、ミコノス湾のビューポイントである。ちょうどエーゲ海に沈む夕日をバックにして、このウインドミルを見ることができた。次第 に真っ赤に染まってゆくエーゲの海をバックに、シルエットに浮かぶウインドミルの絵はなかなか素晴らしい。赤く染まったエーゲ海を小舟が一漕進んで行く姿 に、二人してしばし見入ってしまった。
ロマンチック気分にひたりたい人には、もってこいの島である。

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