1993年4月17日土曜日

<1993/4/17>



  • ローマを後にしてギリシャへ
ホテルのピックアップは7:30の予定。毎度のごとく遅れることだろうと決め込んでいたら、今日は珍しく時間通りにピックアップのマイクロバスが来た。ものの30分もかからずに空港到着、テイクオフまではまだ2時間ばかりある。デューティーフリーでお土産を買って時間をつぶす。
アリタリアAZ480便は予定通り10:00発、アテネ空港までは約二時間のフライト。これまた遅れもせずに到着した。バゲッジクレームのところで台車を貸し出しているのだが、どれもギリシャの地酒「メタクサ」や「ウゾ」の宣伝が描かれている。ロビーの外を眺めると装甲車が停まっていて、ガードマンなのか警察官なのかしらないが、軽機関銃を構えた制服の連中が立っている。ローマでも機関銃を持ったガードは居たが、装甲車まではなかったぞ。
空と海の青、白い雲と白い壁の家々のイメージの地中海の国ギリシャは、けっこう物騒なのかもしれないと思い直す。
ロビーでツアー社のアシスタント・出原さんと会う。とりあえず両替しないと食べるにも観光するにも始まらないので、空港の銀行で30,000円両替。ギリシャの通貨ドラクマは日本円からの両替は出来るが、逆に日本円に戻すことはできない。必要都度ドラクマに替えるか、カードで買い物をすることにな る。為替レートはざっと、2ドラクマ=1円というところ。ドラクマ表示の価格を半分にすると日本円、という計算だ。
ホテルへ向かう車の中で出原さんが、ギリシャの概要説明をしてくれる。治安という点ではローマなどとは比べ物にならないくらい安全とのこと。たしかに街の雰囲気もおだやかである。タクシーも安心して乗れるようだが、なかには吹っ掛けてくる運転手もいるとのことなので利用する前にちゃんと運賃を確認し ておくのが必要らしい。
ホテルはグランド・ブルターニュ。ミシグマ・バカンス社というこのツアー会社では、いつも利用しているホテルらしく、なかなかの豪華版だ。アテネの市内どまんなかで目抜き通りに面している。さしずめ、銀座通りに面して帝国ホテルが建っている、といった雰囲気だ。ロビーは緑を基調にした大理石でつくら れ、ひろびろ&ゴージャスである。
ロビーでギリシャ国内でのツアーの概要説明を聞き、アテネ~ミコノス往復の航空券・乗船券を受け取る。今日4/17はアテネ、4/18~20は地中海の島ミコノス、4/21~22は再びアテネ、そして4/23早朝にローマへ戻り、ミラノを経由して帰国という旅程。特にまんなか三日間のミコノス島は今回の主な目的地なので、楽しみである。トーマス・マックナイトの絵の通りに風車と白い壁の家々の広がる風景を見ることが出来るだろうか。
チェックインを終えて部屋で一休みした後、街へでかける。アクロポリスの丘を始めとする市内の有名観光地については、ミコノスから帰った後に半日観光ツアーもあるのでそれに任せるとして、プラカ地区を散策する。
プラカというのは、みやげもの屋と食べ物屋がズラリと並ぶ旧市街地の一帯。なんとなく、門前町の参道に並ぶお土産やさん通りといった感じがする。とてもフランクな店が多く、ひやかして歩くにはもってこいだし、ギリシャの名物の革製品、絵皿、カーペット、海綿、陶器などを売る店が林立している。
なかでも革製品は、鞄、靴を筆頭に財布、ベルトなどがとにかく安い。鞄は、ショルダーにしろ、手提げにしろ四、五千円程度で入手出来る。ポシェットや札入れにいたっては、五百円、六百円の値段なので、おみやげとして買い込んで配ってしまうにはもってこいである。Tシャツなんかを買うよりははるかに安くつく。
革製品の次にギリシャ名物なのが海綿。何でこれが名産品になるのかは分からないが、プラカの通りでも、海綿だけを専門に売る「海綿屋さん」がけっこうある。巨大なブドウのごとく房になって釣り下げられた海綿が、店頭に売られている。こっちは海綿ひとつが300円かそこらの値段がついており、小さめのポシェットとさしてかわらない価格なのが、観光客たる私達にはなんとなく不思議に感じられる。
プラカをざっと見物してホテルに戻り、ちょっとお洒落に着替える。今宵のディナーはミクロ・リマノの港のシーフードレストラン、その後はアクロポリスの丘の麓のカフェで、パルテノン神殿を見ながらデザートという算段である。空港に迎えに来ていたタクシーが、ホテルまでピックアップに来てくれた。この後アテネにいる間は、ずっと我々の送り迎えをしてくれる。
ミクロ・リマノまでの道すがら、運転手さんが左右の景色を指差しながら、かたことの英語で市内の紹介をしてくれる。右手を指差して「フットボールステーディアム」、左手を指差して「バァスケトボール・ステーディアム」。首を左右に振りながら、ふむふむとうなずく二人。
レストラン「エルグレコ」はミクロ・リマノの港に面した所。ロブスター・ディナーというふれこみだったが、そんなに気取って着飾って行くような店ではなく、気軽にシーフードを食べにいける雰囲気だ。ロブスターのグリル、小エビ・イカ・小魚のフライは簡単な料理だが、素材の新鮮さで売っている。ナポリよりは数段上である。
ここで初めて食べたのは、タラモサラダとザジキ。タラモサラダというのは、「タラモ」じなくって「タラコ」サラダじゃないの、と思わせるようなピンク色のペースト。ジャガイモをふかしてつぶしたものに、タラコの潰したのが入ってペースト状に仕上がっている。ピンク色のポテトサラダと言ったら、一番近い感じだろう。これだけを食べてもいいが、パンにぬって食べるのが普通らしい。ザジキというのもペーストでパンに塗るのだが、細かく刻んだピクルス類をヨーグルトに混ぜてあるもの。ヨーグルトといっても割と塩味が効いていて、ナチュラルチーズも混ざっているような気がする。この二つはパンにはつきもので、この後色々なレストランでパンに着けて食べた。
さて、私達を送って来た運転手のおっちゃんは、おなじレストランで食事をしている。見回すと、同じ様に観光客を送って来たとおぼしき人達がお食事中。我々の食事中どこで待っているのかな、と思っていたらこういう仕組みだったわけである。
食事を終えるとすっかり日が落ちて、あたりは暗い。帰りはアクロポリスの丘の麓「カフェ・ディオニソス」に立ち寄る。残念ながらテーブルからパルテノン神殿を望むのは叶わなかったが、カフェを出た後でライトアップされた神殿を見ることが出来た。一時間ごとに赤や緑のライトがパルテノン神殿にあたり、なかなか幻想的な姿を見せている。ちょうど四月から五月にかけてがライトアップのシーズンということで、ちょっとラッキーな気分。
カフェをバックに二人並んで写真を撮ってもらい、ホテルに戻る。十一時就寝。私としては今回のツアーで唯一、きっちりとスーツ姿ですごした一日であった。

0 件のコメント:

コメントを投稿